水野の観劇記「演劇女子部 アンジュルム 『モード』」感想
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見てきました、演劇女子部『モード』。
アンジュルムとしては初めての舞台、和田彩花さんと、初めての舞台出演である上國料萌衣さんがW主演を務めます。
>>1960年代の終わり。
まだまだ女性の社会進出が難しい時代。
日本初の本格女性ファッション誌創刊に熱意を燃やす女編集者と、モデルとなった良家のお嬢様がいた。
アンジュルム主演でお送りする、自分らしく生きようと闘う女たちの物語。<<
・ファッションショー
まずは今回の演劇女子部の見所の一つ、メンバーによるファッションショーについて触れていきます。
あらすじにもある通り、今回の物語には「ファッション」が絡み、劇中では、モデルを目指す4人の女の子によるファッションショーが繰り広げられます。
その4人とは、佐々木莉佳子さん、勝田里奈さん、笠原桃奈さん、そして今回の主役を務める上國料萌衣さんです。
何が凄いかって、舞台上にはランウェイが設置されているのですが、それが劇場の中心にあるから、距離が近いのです!
くっきり、はっきり、見えます!4Kどころじゃないですよ!そこ、生だから当たり前だとか言わない!
それに、ポージングをしている場面をまじまじと見られるのも珍しい機会。
演劇中にも関わらず、見とれてしまいました!
そして、こんなオタク特有の喜びも霞んでしまうくらい、キャストと物語の魅力に溢れていた舞台であったと、ここに断言します。
・和田彩花さんと葛城弥生
日本初の女性ファッション誌の創刊を目指す女性記者、葛城弥生。
その性格は、まさに男勝り。例え上司であっても言うことを聞かず、夢に向かって自分を貫きます。
表面的には全く異なりますが、内面の熱さなんかは和田さんとそっくりだと感じました。
さて、今回の劇中では、語弊がある言い方かもしれませんが、普段の和田さんの可愛らしさといったものはほとんどありません。
そこにいたのは、武闘派な女性記者です。
かと思っていると、終盤では徹底的に弱い部分をさらけ出したり、振り幅が大きい所を見事に演じきっていました。
余談ですが、劇中では「くそっ!」と吐き捨てる場面があるんです。本人が口にするイメージは皆無であるにも関わらず、なんとも様になっていて、演劇の楽しさを感じましたね。
そこにいるのは和田彩花さんであって、違う人みたいな感覚も演劇の醍醐味の一つだと思うのです。
・上國料萌衣さんと細川美智子
初舞台にして、初主演。
このブログを書くまで、そんな事実はすっかり忘れていました。
上國料さんは、良家のお嬢様である細川美智子役。家族や許嫁には内緒で、葛城弥生が主催したモデルのオーディションに参加します。
そのオーディション中には葛城弥生(和田彩花)に泣かされ、その場を逃げ出してしまうのですが、覚悟の現れとしてロングヘアーをバッサリ切って戻ってくるという場面があるんです。
そこが、モーニング娘。のオーディションでは落選してしまうものの、その後行われたアンジュルムのオーディションを受けに来て合格、リベンジを果たしたという点と重なるなー、などとこの記事を書きながら考えてみたり。
そう!今回、アンジュルムのメンバーが演じる人物に関しては、ハロプロの中におけるそれぞれの性格や立ち位置に似ている点があったりするんですよね。
そのためか、人物の情報がすんなり入ってきて、物語に入り込みやすかったです。
さてさて、話は戻り、上國料さんのショートカット姿!前述のランウェイのおかげもあり、ばっちり見ることができました。
本当に似合っていて、すごく、すごく、可愛かったです。
また、演技や歌に関しては、主役なので当然出番は多いですし、一人で歌う所もありました。
それでも、場面毎の心情がしっかりと伝わってきたし、歌においては声が綺麗で、ずっと聴いていたいと思うくらい。
初舞台、初主演を当然のようにこなす、安定感。流石としか言えないですね。
・相川茉穂さんと奥山よし子
劇中、最も異様な存在感を放っていたのはこの人。
細川家の女中であり、また、美智子の良き理解者として、モデルの夢をサポートするために奮闘します。
よし子は彼女なりに本気なんでしょう。それでも、どこかズレた行動をとってしまい、度々美智子を驚かせてしまったり。そんな、ふわふわしながら自分の道を歩いているような雰囲気が、思いっきり相川さんと重なってしまいます。
出てくる場面が一々面白く、途中からは出番を心待ちにしてしまうくらい、好きな人物でした(笑)
中盤、お笑い芸人のアンジャッシュのコントを彷彿とさせる場面は、相川さんのファンはもちろん、それ以外の方も必見ですよ!
・おわりに
本当は登場人物全員について個別に感想を書きたいくらい、それぞれに見せ場があった舞台なのですが、長くなるので全体を通しての感想に移らせていただく次第です。
今回、基本的に明るい流れで、なおかつテンポよく進行していくため、見ていて気持ちがよかったです。
キャストに関しても、本当にみんな魅力的でしたし、十二分に入り込める世界観が作り上げられていました。
「長くなるから~」とか言いつつ、ここで室田さんの演技について少しだけ。
室田さんは今回男役で、劇中屈指の人格者を演じているのですが、その性格の良さが、劇中のエピソードだけではなく、室田さんの演技からも伝わってくるという事実。
彼は幸せになることでしょう。
このように、出演者の皆さんの高い演技力こそ、すばらしかったです。
また、「男尊女卑」というテーマについて取り上げた物語ではありますが、それだけではなく「夢」というものについて考えさせられたり。
平和に、無難に暮らしていくか。それとも苦しい目にあってでも夢に向かっていくか。
実際、どちらも正しい選択なんですよね。しかし、後者を選択した人がいて、そしてそんな人達が集まったからこそ、ハロプロが生まれた訳です。今回のような、すばらしい舞台も見られた訳です。
本当に、感謝する他ないですね。